赤ちゃんがやってきた2
産婦人科ドクターQの診察室、更年期症候群の患者Aさんがこぼしている。
「うちの嫁さん、私が、お腹の赤ちゃんにいいからとあれこれ持って行くのにちっとも食べてくれないんですよ!そりゃ私だって双子だからって3人分食べろなんていいませんよ、量はほどほどってことはわかってますよ、でも妊娠中にはあれとこれはとらなきゃいけないでしょう・・・」
ほんとうにわかっているのかな!?双子のお母さん、この間の妊娠検診では体重の増加がやはり多かった、とドクターQは思い出した。この過干渉なんとかしなくちゃいけないが、と手元のカルテのAさんの検査結果を見て、一つの高値を示す赤いマーク、これがよい。そしてAさんは血糖値が高いため栄養指導を受けるようにとおもむろに宣告された。さて栄養指導の当日、Aさんはお嫁さんも来ているのにびっくりした。2人して神妙に栄養指導を受けているのを横目でみて、ドクターQはAさんの血糖値は少し高いだけなんだがと腹の中でにやりと笑った。指導する栄養士さんにはもちろん耳打ちしてある。Aさんは、ドクターQの腹黒さを察したか、それ以降お嫁さんに何も持って行かなくなった。妊娠中の余分な体重増加は難産のもと、病気のもと、妊娠後の肥満のもととドクターQはつぶやいた。

(ある日のDr,Qの診察室日記より)
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