赤ちゃんがやってきた3
産婦人科ドクターQの診察室ではない。ここは分娩室、いよいよAさんのお嫁さんの分娩が始まった。
初産で双子、なかなか陣痛が強くならない。控え室、Aさんがおろおろしている。もちろん新米パパ予定のAさんの息子さんも来ている。ようやく、子宮口が全開に近づく、もうすぐですよと、助産師さんはげます声、Aさんの息子さんビデオカメラ持って分娩室に飛び込んできた。
1人目出産、元気な赤ちゃん、まだもう1人、双子のお産は2人目のほうが危険、胎児心音の急な悪化ですと助産師が叫ぶ、ドクターQ、2人目を吸引で出して、赤ちゃんは元気、ほっと一息ついて。とたんにお母さんがどーっと出血、やはり双子は出血が多い。突然、床でどたんと音がした。床に目をやるとそこにAさんの息子さんの顔がある。よく見るとAさんの息子さんが倒れていた。出血をみて気を失ったらしい。男性に時々あるタイプだが『忙しいときに』と舌打ちしても、仕方がない。応援を呼んでこの新米パパを控え室に運び出す。Aさんはまたまたおろおろしている。出血はほぼ止まり、Aさんの息子さんも気がついた。そして新米のパパ、ママ1人ずつ赤ちゃんを抱い記念写真、ドクターQもはいってもう1枚、Aさんとスタッフ全員もはいってさらに1枚、おめでとう!赤ちゃんの泣き声2重奏のなかで、ドクターQのつぶやき声、分娩室でパパになるなら、その前に両親学級受けましょう!

(ある日のDr,Qの診察室日記より)
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